生活習慣病とは
生活習慣病は、高血圧・脂質代謝異常(高脂血症)・糖尿病・痛風があります。それ自体だけでなく、脳卒中・心筋梗塞・腎不全など重篤な疾患の原因になる可能性がある病気です。また初期にはほとんど自覚症状が現れないことも多いため注意が必要です。ただし生活習慣病という名前からもわかるように、生活習慣を見直すことによって進行を止めたり、改善することが可能です。
高血圧とは
高血圧は、自宅血圧が最高血圧である収縮期血圧が135mmHg以上、最低血圧である拡張期血圧が85mmHg以上を指します。血圧が高い状態が長期間続くと、血管が傷付いていきます。特に脳や心臓・腎臓などの血管に障害が起こると、脳卒中・心筋梗塞・腎不全を起こしやすくなります。
患者さまにとって目標とする血圧は異なってきますが、収縮期血圧135mmHg未満で拡張期血圧85mmHg未満が目安です。ただし糖尿病や腎障害がある場合にはこれよりも低い数値が目標となります。
日常生活の見直し
減塩
1日6g未満を目標にします。
日本人は1日に9~11gの平均塩分摂取量だと言われていますので、2/3程度に控えるのが目安となります。薄い味付けに慣れてくるまでは、旨味や酸味・香辛料を増やすなどで味に変化をつけましょう。
栄養
体内の塩分排出には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれた新鮮な野菜や果物が効果的です。またたんぱく質は、肉よりも魚の方で取るように心がけてください。
適正体重の維持
肥満は心臓に負担がかかり、身体を動かすことが億劫になるので悪循環を生みやすくなります。食べ過ぎによるカロリーオーバーに注意するだけでなく、適度な運動を行って適正な体重コントロールを行いましょう。
目安としてBMI(体重Kg÷身長m÷身長m)が25を超えないようにします。
運動
激しい運動はかえって血圧を上昇させる可能性があるため、ウォーキング・軽いジョギング・サイクリングなどご自分のペースで楽しみながら行える運動を心がけましょう。適切なメニューや回数などは医師に相談してください。
節酒
禁酒までする必要はありませんが、ビールなら1日に中ビン1本・日本酒なら1合程度に控えましょう。また毎日飲むのではなく休肝日を作りましょう。
禁煙
高血圧で喫煙を続けると、合併症を起こす危険性が高まることがわかっています。当院では禁煙外来も行っておりますのでまずはご相談ください。
睡眠・休養
睡眠や休養をしっかり取ることはとても重要です。また適度に発散してストレスをためないようにしましょう。
気温差
血圧は寒い時に上昇しますので、温かい場所から急に寒い場所に移動すると心臓に負担がかかります。特に注意が必要なのは入浴時です。お湯の温度に注意し、冬場は脱衣所や浴室を暖房などで暖めて温度差を減らしてください。
家庭で血圧を測りましょう
普段の血圧を知ることは、血圧の適正なコントロールにとても重要です。家庭に血圧計があればさまざまな状況でどのくらい血圧が変化するかわかりますし、健康状態やお薬の効果などの情報を得ることもできます。家庭で血圧を測って治療に役立てましょう。
薬物療法は医師に相談しましょう
お薬を自己判断で増やしたり中止するのはとても危険です。当院ではできるだけお体に負担をかけずにお薬を減らしたり、やめるまで持って行く治療も可能です。まずはご相談ください。
脂質異常症とは
血液中のコレステロールや中性脂肪の値が異常な状態になっている疾患です。高脂血症であるLDL(悪玉)コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)が過剰な状態は一般的ですが、HDL(善玉)コレステロールが少ない状態も脂質異常症に含まれます。
特に注意が必要なのはLDL(悪玉)コレステロールの数値で、動脈硬化と関係が深いため進行すると動脈硬化で血管が狭くなったり詰まるなどして狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を起こします。これは突然死の原因にもなっています。
脂質異常症の予防・治療 食事
食生活の改善はなにより重要な治療法です。バランスの良い食事を摂り夜中に食事をするのを控え、適度な運動を組み合わせることでLDL(悪玉)コレステロールを3ヶ月で約10%も減らすことが可能です。
高LDL(悪玉)コレステロール血症で避ける食品・控えたい料理
コレステロールを多く含む以下の食品はできるだけ避けましょう。
卵黄・内臓・肉の脂身・バターや生クリーム・牛乳などの乳製品
いくらなどの魚卵・シシャモ・しらす干し・イカ・タコ・エビ
控えたい料理
揚げ物などの油を多く使う料理・卵やエビなどコレステロールを多く含む食材を使用した料理をさけましょう。 油の多い食品には、とんかつ・エビフライなどがありますが、ピザ・親子丼・いくら丼・オムライスなども控えた方がいい料理です。
高LDL(悪玉)コレステロール血症で積極的に摂りたい食品
食物繊維はコレステロールの蓄積を防ぐため、食物繊維がたっぷりな野菜・海藻・きのこ類を積極的に摂るようにしましょう。
たんぱく質では肉の場合、鶏のササミはおすすめできますが、さらに魚・特に青魚を摂るようにしてください。また植物性のたんぱく質が摂れる豆腐や納豆などの大豆製品もできるだけ摂りたい食材です。
油を使う料理にはベニバナ油やオリーブ油などを使いましょう。
高トリグリセライド(中性脂肪)血症で、避ける食品
糖分やお酒をできるだけ控えましょう。お菓子だけでなく果物やジュース・スポーツドリンクなども糖分がかなり多いので避けてください。
お酒に関しては他に甘い物を摂らない場合1日にビール1本程度までが目安です。
日常生活を見直す
軽い運動を生活に組み込んで習慣づけましょう。
運動はトリグリセリド(中性脂肪)低下と、HDL(善玉)コレステロール上昇をもたらします。おすすめしたいのはウォーキングや軽いジョギング・サイクリングなど無理せず行える有酸素運動です。水泳はかなりハードなスポーツですので、プールでは水中を歩くクラスなどに入ると足腰に負担なく適切な運動量を得られます。
なお運動による効果は数か月後に現れはじめることがほとんどですから、楽しみながら気軽に続けられるメニューを組みましょう。
適切体重にコントロール
食べ過ぎに注意して適正なエネルギー量を摂るようにしましょう。少なすぎても多すぎてもよくありませんので、標準体重を保つよう心がけてください。
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
脂質の管理目標値
治療で目標にする数値は患者さまによって、また状態によって異なります。たとえば高血圧・糖尿病などがあったり、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などを起こしたことがある場合には、危険因子があるため動脈硬化が進みやすい状態と言えますからより低いLDLコレステロール目標値となります。
薬物療法は医師に相談しましょう
脂質異常症は適切な食事療法や運動療法でほとんどの場合改善が期待できます。ただしどうしてもLDLコレステロール値が目標値まで下がらない場合は薬物療法を検討します。ただし薬物療法で数値が改善しても薬を中断せず治療を続けていくことが重要です。